Sky ForceとPocketPCとXIIZEAL

Sky Forceオリジナルは10年ぐらい前のPocketPC版だ。PocketPCとはWindowsCE(Windows Mobile)が搭載されているモバイル端末の事だ。XIIZEALも10年ぐらい前にPocketPC版がリリースされている。当時ヨーロッパでPocketPCが流行っていてゲームの売り上げも好調だったようで、ウクライナの会社からオファーがあった。Sky Forceはその隣の国ポーランドのINFINITE DREAMSが製作している。当時のSky Forceをプレイしてみたいところだが、残念ながら入手するのは難しそう。

PocketPCは機種にもよるだろうがプレイステーションのソフトをソフトウェアで再現出来るぐらいのスペックがあり、当時エンジニアがXScale用のプレステエミュレーターの出来がいいんだぜなんて言っていた。

XIIZEALのPocketPC版はびっくりするぐらい快適に動作して、オリジナルのアーケード版と遜色ないレスポンスでプレイ出来た。いちばんおもしろかったのがペンでの操作。画面上の自機を指す感じで左右に激しくこするとサイドアタックが気持ちよく出せた。まるでペンでの操作を最初から想定して作ったゲームのようだった。

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動作検証用に用意していたPocketPC端末。左からW-ZERO3/Axim X50v/W-ZERO3(es)刺さっていたSDカードが256MBなところに時代を感じる。
当時はこんなでかい端末(W-ZERO3)で電話してるの恥ずかしい!って感じだったけど、10年経ったらみんなこんな大きさの端末で電話してるという。

出来がよかったのでもっと広めようと思って、W-ZERO3の通信会社に行ってプリインストールしませんか?って話してみたら、エンジニアの人はこんなゲームが動くんですねってテンション上がってたけど、実現はしなかった。その頃任天堂DSもあったので京都に行ってペンで遊べるシューティングゲームあるんですけど、出させてくれませんかね?って言ったところ、こんな常時こするゲームはあかんですわ。そんな事言われました…
確かにそうだ。壊れちゃう。

ヒロシ&
ゲームセンター版は、いかに要点でレバーを振りまくれるか、体力も酷使する前のめりなゲーム。PocketPC版はレバー操作の新しさを味わうゲーム。
Steam版はコントローラーの他キーボード操作にも対応している。←→キーを巧みに連打してサイドアタックを繰り出すのもまた楽しい。キーボードで遊ぶシューティング、ホビーパソコン世代には懐かしい。

そんなXIIZEALのPocketPC版はリリースまでに時間が掛かり、PocketPCの人気が失速してSymbianやBrackBerryの様な文字入力に最適化された端末に人気が移りiPhoneまで登場する頃のリリースだったのでタイミングが悪かった…
今と同じでモバイルデバイスの環境変化のスピードはとても速い。

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PocketPC版発売当時の宣伝マンガ

PocketPCのシューティングゲームが10年経ちAnniversaryを冠してSteamで再び同じプラットフォームに並ぶのは、なんだかちょっと感慨深い。

XIIZEAL Steam商品ページ
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Sky Force Anniversary Steam商品ページ
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XIIZEALのXbox360版は[Shooting Love 10th Anniversary – XIIZEAL & ΔZEAL -]

Steamでもシューティングゲームをしようじゃないか(Sky Force Anniversary編)

Steam版XIIZEALの開発を始めるにあたって、そもそもどんなゲームがリリースされてるかもよく知らない状態だったので、Steamのゲームがどのような仕様で作られているかを知るためにいろんなゲームを体験してみた。もちろんシューティングゲームも。

 ゲームセンターのようなシューティングや家庭用ゲーム機向けのシューティングはあまり種類は無いが、それと比べるとジオメトリウォーズの様な左スティックで移動右スティックで任意の方向に攻撃といったスタイルのゲームはよく見かけるが、そもそもFPSではないシューティングがうまくジャンル分けされておらず検索性が悪いのでなかなか網羅しにくい。好みのゲームを探すこと自体がゲームになっている。そんな感じで不意に目にしたゲームがSky Force Anniversary。当社もShooting Love 10th Anniversaryってタイトルのゲームを出していたので親近感を感じつつプレイした。

 ショット連射速度が固定だったりオブジェクトの動きが全体的に緩めなところがスマートフォン由来のゲームな印象。(本作はiOS/Androidに出ていたゲームのPC向け調整版)
しばらくゆったりとしたゲームが、アイテムを集め自機をパワーアップするする事が出来るようになってくると様子が変わってくる。同じステージもパワーアップ後にプレイすると敵全破壊やノーダメージといった目標達成が絶妙な難易度で味わえる。

 序盤は彩京ストライカーズや東亜プラン的な雰囲気が徐々にCAVE的な要素が入りつつ隠し味でどこかのシューティングで聞いたような効果音が流れてきたり。それに限らずいろんなシューティングゲームを研究しそれをうまく吸収して絶妙なバランスに仕上げている。とても愛を感じる。

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美麗なビジュアルが素敵

iOS/Android版もやってみたが、携帯端末に自分が慣れていないだけかもしれないが、PC版の方が断然面白い。というか、別物だ。携帯端末向けの縦長画面から最近のPC向けワイド横画面にアレンジされているのだが、まるで元々ワイド画面用に作られていたかのように敵や敵弾の速度、自機速度や背景のスクロールバランス等がとてもいい。ワイド画面向けに作られた縦シューティングとして初めてちゃんとしたものを遊んだ気がする。大量の敵弾/オブジェクトやスクロール速度でごまかしていないところがまた凄い。オブジェクトの出現数が8bit時代のゲームの様に少ない局面も多いのだが、そういったときによく起こるスカスカな印象を感じない。次の敵出現やゲームの目標といった緊張感を持続できるようなゲームデザインがなされている。

 まとめると、シューティングゲームが好きなSteamユーザーでありながらSky Force Anniversaryをプレイしていないなんて、もったいない。って事だ。


Sky Force Anniversary のSteam商品ページ
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Xbox 360コントローラーで遊びやすいよう調整されているのでぜひ使おう!

Xbox 360 シューティングラブ。10周年 『開発こぼれ話』その19『シューティングラブ。ディケイド』その5[まとめ]

おさらいしたシューティングタイトルは7つ。移植版やイベント限定タイトルもカウントするとその2倍以上有る。なかなかに個性的なタイトルが揃っている。毎年1本以上のペースでシューティングゲームを作っている。我ながら随分作ったと思う。

前半はパッと見スタンダードなシューティング。後半はパッと見から違いが醸し出されるよう工夫が盛り込まれたゲームになっている。シューティングを何とかするにはそうしなければならないと考え始めたから。また、時流に沿ったからとも云える。シューティングが好きで業界に入ったので自分が好きだった80~90年代のゲームのような過去の流れに沿ったコンサバなモノを作りたい気持ちは強いが、ゲームセンターのゲームは何かしら新しい刺激がなければならない。最新作『コンバットジール』を収録している『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』から使用する基板がそれまでのモノと大きく変わった。ワイド液晶筺体、IDカード、ネットといった今までは使えなかったデバイスが有る。それは過去には無く現役で業務用シューティングを作る立場でなければ経験出来ない状況。10年経って最前線に居る事がうれしい。新しいデバイスにワクワクする。80~90年代にアーケードゲームを作っていた人達も急速な技術の進化にワクワクしていたんだろうと想像すると楽しくなってくる。

さて今回おさらいした7つのシューティングの内6つはXbox 360『シューティングラブ。200X』と『シューティングラブ。10周年』でプレイする事が出来る。00年代のシューティングを語る上で外せない、きっと後に評価されるゲームが詰まっている。

Xbox 360 シューティングラブ。10周年 『開発こぼれ話』その16『シューティングラブ。ディケイド』その2[第1期トライアングル・サービス]

デルタジールデルタジール
デルタジール2002年
トライアングル・サービス初仕事の業務用シューティング。90年代のシューティングと言えばショット/ボム/縦画面だ!正にそのままな王道スタイルを目指した。全てはこのゲームから始まった。

 

 

 

トゥエルブジールトゥエルブジール
トゥエルブジール2002年
稼働時期がデルタジールと被ってしまった為、レバガチャで強力な攻撃をするという1アイデアで突き抜けたゲーム。王道のデルタジールが表、本作が裏の関係になる。ここまでの2作が元セイブ開発のデザイナーによって支えられた第1期トライアングル・サービスだ。

Xbox 360 シューティングラブ。10周年 『開発こぼれ話』その16『シューティングラブ。ディケイド』その1

『シューティングラブ。10周年』発売記念集中更新もそろそろ最終回。トライアングル・サービスのシューティングゲーム10年分のおさらい。先ずは動画を。一部の映像はXbox 360『シューティングラブ。200X』のリーダーボードに登録されているリプレイデータから収録させて頂いた。感謝!

Xbox 360 シューティングラブ。10周年 『開発こぼれ話』その15『XIIZEALからTRIZEALへ』その3

前回の話題に出てきたXIIZEAL/PCデバッグ版の映像だ。通常は見えないフレームバッファ以外のVramも表示している。PSとGNETの違いが分かる人がニヤリとする動画だ。

開発で使用しているPCはCorei7。PC版XIIZEALが爆速で動く。ソフト的に大きな変更はバイトオーダーの違いぐらいだから簡単にXbox 360で動かせるだろうと思ったら、そうは簡単に行かなかった。とりあえず動いたXbox 360版はスローだったのだ。

ひとまず高速化の手段としてSIMDを試す。PC版を作った頃はマルチメディア命令MMXって言ってた奴だ、使う機能はパックド演算。XIIZEALはαブレンド等の透明演算を多用しているのでRGB各要素を一度に演算出来るパックド演算を使用すれば処理時間の短縮が出来るはずだ。実際PC版では15fps程度高速化出来た。それに合わせPSの16bitフレームバッファを32bitフレームバッファに切り替える機能も既にある。32bit版なら16bitピクセル情報をパックド演算する32bit形式にその都度変換する必要が無いのでかなり高速化出来るはずだ。やってみた。驚いた。まったく速くならない…頭を抱えた。アーケード押しの僕は家庭用機のPSでは再現出来ないようなゲームにしようとPSの1.5~2.0倍の性能を誇るAC基板GNETの限界近くまでαブレンドやVramを使いまくっていたのだ。そんな当時の自分を軽く呪うが、そんな場合では無い。タイムリミットは容赦なく迫る。

計算を高速化しても状態は変わらない。計算に必要な値をメモリから持って来るのと計算結果をメモリに書き戻す処理が遅いのが原因だった。頭の回転を速くしてもデータをやり取りする足が遅いのでどうにもならない。さすがに7年前の2005年に出たゲーム機のRAM速度は現状のコンピュータ事情からすると時代遅れ。Xbox 360にも高速なRAMは有るがそれを使うにはDirectXのルールに則って作らなければならない。残念ながら今回は自前ソフトウェア描画なので、その対応をするには軽く1週間は必要。しかもそれで解決する保証はない。他に使える機能は無いものかMSの資料を閉じてひとまずググった。なぜならMSの資料は適切な情報の集約と編集がなされておらず、知りたい事柄に辿りつくまで無駄な時間が掛かるからだ。じっくりと資料を当たる時間が惜しい程事態は切迫している。

Xbox 360のCPUは3コア。使えそうなモノが見つかった。現在の動作速度は目的の70%程度、偶数フレームバッファと奇数フレームバッファを別のコアで並列に処理すれば倍の140%のパフォーマンスが出るはず。プログラムの修正も小一時間で行ける。試してみた…

見事解決!何が役に立つか分からない。ゲーセンラブ。の開発時レガシーデバイスであるJVSのレスポンスを改善する為、使用していないCPUコアを用いてアクセス時間を隠蔽する実験をしていたプログラムが参考になった。お陰で発売日を遅らす事無くプロジェクトは進行したのだ。